ダサ倉君に焦がれたい






「ありがとう!」




紙切れを受け取ると、朝倉君はあたしに背を向けて駆けていってしまった。




やっぱり女慣れしていないのかな?

朝倉君は照れ屋のようだ。






朝倉君の後ろ姿を見送ってから、紙切れに目を落とす。

そこには、こんな文字が印刷されていた。





『sand live tour final』





「……sand?」




思わず声に出してしまった。



sandってなに?

ライブのチケットなの?

あたし、あんまり興味もないけど……

でも、朝倉君が頰を染めて渡してくれたんだ。

きっと、朝倉君はsandが好きなんだな。

このライブに行って、朝倉君との話題を見つけよう!




そんな軽い気持ちでライブハウスへ向かうのだった。