章司君が教科書を見せてくれたから、なんとか授業にもついていけた。
そして、ノートもばっちり取ることが出来た。
これを朝倉君に見せてあげよう。
朝倉君、喜ぶかな。
そんなことばかり考えていた。
「三谷さんって優しいよね」
章司君の声で我に返る。
そして、びっくりして章司君を見た。
章司君はまた、あたしを馬鹿にしている……
なんてことは全くなく、その爽やかな顔で申し訳なさそうに言う。
「俺も朝倉君のことが気になっていたんだけど、みんなの目が怖くて何も出来なかったんだ。
だから三谷さんが朝倉君に話しかけた時、すごくと思った」
その言葉がすごく嬉しくて。
あたしは、章司君を見て笑っていた。
朝倉君、一人じゃないよ。
こうやって、朝倉君のことを気にしている人もいるんだよ。



