人のいい笑顔を浮かべ、 「俺の教科書で良かったらどうぞ」 彼はいちいち席を移動して、あたしの隣に座る。 「あっ……ありがとう」 あたしは彼の好意がまだ信じられず、なんとかお礼だけを告げた。 それにしても、彼は嫌じゃないのかな。 あたしみたいな変な人に教科書を見せるのなんて。 もしかしたら、彼まで笑い者になってしまうかもしれない。 そして、あたしのせいで彼が笑われるのなんて、耐えられない。