「僕もさ、一人の人間なんだから」
顎をくいっとされたまま、至近距離で朝倉君に見つめられ……身動きすら取れない。
ただ、狂ったように鼓動が速い。
「一人の人間なんだから、ただの友達って言われたら悲しいし、三谷さんを危険な目に遭わせた人には怒ったりするよ」
……え?
朝倉君、何を言ってるの?
まじまじと見つめた先にいる朝倉君は、頰を少し染めてあたしを見ている。
甘く優しい瞳は、少し真剣で。
吸い込まれたように視線が離せない。
「だから……緊張するけど伝えさせて」
身体が震える。
これは夢じゃないかって。



