「あの……その人、嫌がってるんですけど」
聞いたことのある声が、あたしの耳に飛び込む。
その声を聞いたら、胸がじーんと熱くなった。
そして、こんな瞬間を見られていることに、心が悲鳴をあげた。
彼だけには見られたくなかった。
出来たら、合コンに行くこと自体知られたくなかった。
「誰だ、お前?」
勘違い男は明らかにイライラした声で彼に聞き……
「僕は彼女の友達です」
その大好きな声が発した言葉を聞いて、愕然とした。
……友達。
そう言ったのは、あたしのほうなのに。
実際、友達に違いないのに。
だけどその言葉が、酷くあたしの心を切り裂いた。



