ダサ倉君に焦がれたい








「あのっ……あたし、用事があるので!」




そう言って逃げようとしたが、手をぎゅっと引っ張られた。

予想以上に男の力は強くて、バランスを崩したあたしは倒れそうになる。

そんなあたしを、彼は得意顔で抱きとめた。





ドキドキなんてしなかった。

身体中を冷や汗が流れた。

やっぱり、慣れない合コンなんかに来なければ良かった。

こんな、全くタイプでもない人と……






一緒に来ていた女の子たちに助けを求めようとしたが、彼女たちと他の爽やか男子の姿はもうなく、勘違い男と二人っきりになっていることに気付いた。




愕然とした。

それと同時に恐怖が襲う。

早く逃げて帰らなきゃ。