ダサ倉君に焦がれたい













午後六時。

指定された場所にあたしは行った。

お気に入りの服に、メイクをして。





髪も軽く巻いてみた。

今のあたしは、いつものあたしよりも少しかわいい。

こんな姿を、本当は朝倉君に見せたかった。
……朝倉君はきっと、何も思わないだろうけど。







「あ、三谷さん」




そう言ってあたしを呼んでくれる女子たち。

彼女たちは驚いた顔で、



「三谷さん、なんか雰囲気違うことない?」



なんて言ってくる。




そうだよ、あたし、頑張ったんだ。

本当はこの格好で、朝倉君とデートしたいんだけど。






そんなことを妄想するあたしに、



「三谷さんって、こうやって見ると可愛くてお洒落なのに、なんでダサ倉といるの?」



彼女たちは聞く。




可愛くてお洒落という褒め言葉はすごく嬉しい。

それに、なんで友達を失ってまで朝倉君といるのか、不思議に思う気持ちは分かる。




だって……





「好きだから」




思わず言ってしまった。

あたしの言葉に、



「「「えぇぇぇーッ!?」」」



女子たちは一斉に大声を出した。