胸が熱くて張り裂けそうだ。

一筋の涙が頰を伝う。

あたしは胸を握りしめ、顔をくしゃくしゃにして彼を見る。




スポットライトに照らされた彼は汗を拭い、優しい笑顔であたしを見る。

あたしなんて見えているはずがないのに、確かにこっちを見た気がしたんだ。







「僕たちはみんなに支えられて、こんな大舞台に立つことが出来ました。

僕たちを支えてくれた、全ての人にありがとうと伝えたい」





客席から悲鳴が上がる。

ファンが彼に酔っている。

でも……

あたしは、声すら出ないほど彼に夢中。

息が止まってしまいそうなほど。