すばるくんはそのまましばらく歌っていて……
おもむろに、鞄からノートを取り出す。
それは五線譜が描かれたノートだった。
そして、歌いながらさらさらと音符とコードを描いていく。
そんなすばるくんから目が離せない。
その歌声に、メロディーに、心の芯から揺さぶられ。
さらさらと楽譜を描く手元から目が離せなくなって。
ものの数分で、すばるくんは満足したようにノートを閉じた。
まさか……
まさか今、sandの曲が作られたの?
唖然とするあたしに、
「ごめんね、一人の世界に入ってしまって」
すばるくんは気まずそうに言う。



