「それでねそれでね!
洵さんがこの服おすすめって言ったから買ってみたの!」
あたしは珍しくすばるくんと二人でいた。
お洒落なイタリアンではなく、古びた学食に。
周りの学生は、やっぱりすばるくんを見て笑っている。
そんな視線に慣れたあたしは、華麗に無視してすばるくんに話を続けた。
「今年は刺繍が来てるんだって!
このテラコッタも流行りなんだって!」
今日のコーデは、洵さんイチオシのモテコーデ。
ふわゆるコーデではなく、すばるくんが好きだと言ったかっこいいカジュアルコーデだ。
これですばるくんもときめいてくれないかな、なんて思った。
それなのに、すばるくんは口を噤んだまま横を向いている。
なんでそんなに機嫌が悪いんだろう。
あたし、すばるくんのために頑張ったのにな。



