授業なんて聞いていられなかった。

朝倉君のことが気になって。






朝倉君は始終無言で、ボーッと前を向いていた。

そんな朝倉君を盗み見る。

へんてこな眼鏡に、ボサボサの髪。

だけど、横から見ると……

その瞳は優しそうな切れ長で、鼻はすらりと高い。

ヒゲなんて生えていなくて、なんだか石鹸の清潔な香りすらする。

あたしの視線に気付いて朝倉君がこっちを見るものだから、慌てて知らないふりをした。

そして朝倉君が前を向くと、あたしが朝倉君を見る。

その繰り返しだった。