「悪いな、急に呼び止めて」 すばるくんの消えたビルの横のひと気のないカフェで、圭吾さんはあたしに告げる。 そんな圭吾さん、目深に被ったキャップと眼鏡で、一見KEIだとは分からない。 すばるくんほどではないが、変装の名人だ。 そんな圭吾さんに聞いていた。 「圭吾さんは用事、ないんですか?」 あたしの言葉に、 「生憎、すばるだけの用事だ」 圭吾さんは複雑な顔で答えた。