誑かしているのは、すばるくんのほうだよ。 何もされていないのに、あたし、身体がきゅんきゅんいって止まらないよ。 「じゃあね、つばさちゃん」 分厚い眼鏡をかけたまま、笑顔であたしに手を振るすばるくん。 そんなすばるくんに手を振りながら、その後ろ姿をぼーっと見ていた。 そんなあたしを、 「つばさちゃん」 聞いたことのある声が呼び止めた。 慌てて振り返った先にいたのは…… 「圭吾さん」 だったのだ。