ステージを見上げるあたしは、ステージ上にいる彼と……
視線がぶつかった。
ダサ倉じゃなくて、Tシャツにジーンズ姿のかっこいいSUと。
きっと、彼がこっちを見ているなんて、あたしの勝手な妄想だろう。
こんなに人がいるところで、ちっぽけなあたしを見つけるなんて至難の技だ。
だけど……
やっぱりドキドキした。
また酸欠になってしまいそうなほどに。
彼は辺りを見回し、
「ありがとう。じゃ、始めるよ!」
その言葉が合図だった。
ドラムがカウントを始め、その曲が始まる。
爽やかで、かっこよくて、どこか切なくて、耳に染み付いて離れないその曲が。



