ーピンポン。ピンポン。 鍵を取り出す時間も惜しくて家のチャイムを連打する。 「はーい!ちょっとさくら出てくれるー?」 「えー。いまいいところなのにー」 「じゃあお母さんの代わりにとんかつ揚げてくれる?」 いいから! とんかつも誰が出るかもどうでもいいから、早くここを開けてくれ! 鍵を開ける音が聞こえると同時に勢いよくドアを開ける。 勢いのついた体は傾き、そのまま倒れこむ。 「わっ、ちょっと何?何事?」 妹の声を聞き流し、安全な場所に辿り着けた安心感を噛みしめる。