「ねえ」 「ん?」 家の少し手前、くたびれた標識の下で、椿は立ち止まっていた。 「椿?」 オレンジ色の世界のなかに佇む姿に、なぜだか無性に胸が締め付けられた。 「椿じゃない。私の名前は倉留莉香」 「え?」 「歳は27。住んでる場所はここから徒歩三十分の場所にある」