だったらあんたが堕ちてくれ


だからなるべくさらっと、努めてなんでもないことのように事実を話す。

「記憶喪失……」

呟き、咀嚼し、意味を理解する。

「じゃあ付き合ってるのは嘘ですか?」

聞きなれない言葉を耳にしてもなかなかに冷静だ。

女のそういうところ、本当に怖い。

「いや、嘘じゃない」

隠さない。

隠したらまた、それはそれで面倒そうだし、それって柴崎にも失礼だ。