温度を全く感じさせない冷たい声が、静かに沈黙を破る。
「なんだよそれ!さっきから忘れたとか、さあとか、一体あんたは何者なんだ!」
バチン。
本日二度目のその音が、再び俺の頬に痛みを走らせる。
「あのさぁ、私こう見えてあんたより年上なんだけど」
「そんなの見れば分かるよ!だからなんだよ!それでなんでビンタなんかされなきゃならないんだ!」
三度振り上げられた手からなんとか逃れた俺にため息が落ちてくる。
「口の聞き方。年上には敬語。これも覚えときな」
空いた口が塞がらないとはこういう時のことを言うんだろう。


