それでも一度引っ込めたそれはなんだか気恥ずかしくて、もう一度伸ばす勇気は沸き起こってはくれなかった。 「そんなの簡単」 「簡単?」 「朝。チハさんが出かける前。あんたの学校がどこか聞いた」 「チハさん?」 母さんの名前は椎名智春。 文字ってチハさん、というところだろう。 「そう呼べって。そしたら理由を聞かれたから。迎えに行くって答えた」 ああ、成る程。 朝の視線はそれが理由か。