「椿」 呼びかける。 椿は空き缶をくるくる回したまま顔だけを俺に向ける。 「帰るか」 立ち上がる。 人質に取られていた鞄は随分前に返してもらった。 横を歩く椿の手に、自分の手を伸ばしかけた時、カバンの奥がが小さく震えた。 「もしもし?柊、いまどこ?」 「帰ってる途中だけど」 「椿ちゃんと一緒なのよね?」 「おう。なんで?」 「ならいいの。早く帰ってきなさいね」