だったらあんたが堕ちてくれ


「で、酒臭かったから何か欲しいものがないか聞いた」

「そう。気持ち悪いなら水とか飲んだほうがいいんじゃないかと思って。だけど全然返事がないから放っておくことにしたんだ」

本物の裁判さながらに堅苦しい空気の中、ニャーと言う鳴き声をあげて、正真正銘、俺に拾われたチョコがコタツの中から登場する。

そしてなぜか椎名家の一員を差し置いて、得体の知れない女の元でゴロゴロと喉を鳴らしている。

「おおー。チョコにも仲間が分かるんだねー」

妹の呑気な発言に父さんが咳払いをして空気を戻す。

「うん。そこまでは分かった。それでなんで追いかけられたんだ?」

「そんなの俺が聞きたいよ。超怖かったんだから。この女の必死の形相とか、諸々マジで、超やばかった。トラウマだよ。夢にみるよ。どうしてくれんだよ」