「ねえ、食べないなら貰っていい?」
だけど俺の視線に気づいたその女の口から発せられたのは太々しい言葉だった。
呆気に取られる俺の目の前から、とんかつが一個二個と消えていく。
「おい、勝手に食うなよ。いいなんて言ってないだろ」
俺の皿から奪われたとんかつが、その女の口の中へと消えていく。
その女は奪い取ったとんかつを噛み砕いて、喉の奥へと流し込んで、そうした後でやけに冷たい視線で俺を捉える。
「あんたにいいことを教えてあげる。無言は肯定。学校じゃ教えてもらえないからよく覚えときな」
「あはは。お姉さんいい性格してるね。私好きよ、お姉さんみたいな人」


