「こんなことでもないと行けないからって。今日の昼に予約したって。妹はそれ聞いて意気揚々と泊まりに行った」 こんなことって……。 妹と二人で留守番するより赤の他人と子供を置き去りにする方がよっぽど心配だとは思わないのか。 「どんだけ信用してんだよ」 ぼそりと呟く俺の声を椿の地獄耳が拾いとる。 いや、俺のミスか。 鍋の煮える音のみが響くこの空間で、コタツに向かい合って座っているんだ。 聞こえない方がおかしい。