無愛想はいい、仏頂面もいい、だけど言葉は気をつけて発信してくれなきゃ。 危うく勘違いするとこだった。 今夜一晩、この家に俺と椿の二人しかいないなんて、馬鹿なことが頭を過ぎったじゃないか。 「はは、あり得ないっつーの」 立ち上がって、カバンを持って、着替える為に部屋へと向かう。 馬鹿なことを考えてしまった自分に苦笑しながら歩みを進める。 椿の前を通り過ぎる。 通り過ぎて、顔にはぎこちない笑みを貼り付けて、足を止めて、振り返る。