「……というわけで佐々木くんには北海道に行ってもらうことになった。」

 寝耳に水の朝礼。
 その後の話は頭に入ってこない。

 みんなも驚きでざわめいている。

 ざわつく中で耳打ちされた「俺とまた添い寝できるんじゃないですか?」の声の主は宇佐美くんだった。

 そんなわけない。
 何があっても一緒にって………。

「大丈夫?
 ねぇ中島ちゃん?」

 私は気が遠くなって青ざめた顔でよろめいた。
 吉田先輩に支えられたところでプッツリと記憶が途切れてしまった。



 気がつけばベッドの中。
 医務室にしてはふかふかで………。

「具合どうですか?」

 そう目の前には貴也さんの優しい顔が……。

「!!!」

 どうして…。ここ貴也さんの部屋だ。
 夢でも見てた??

「まさかこんなにショックを受けるとは思いもよらずすみませんでした。
 早めに伝えなければと思っていましたが、何もかもが後手に回ってしまいました。」

 夢じゃないんだ。
 あんなに……あんなに離れないって言ってたのに……。

「外回りのついでに中島さんを家まで送り届けるという口実ですので、私は仕事に戻らなければなりません。」

 そっか。だから私はこのベッドで寝ていて目の前に貴也さんがいたんだ。

「この件はきちんと話すつもりです。
 お願いですから、帰るまでここで寝ていてください。
 どこにも行かないでください。」

 優しく髪を撫でると貴也さんは出て行ってしまった。

 私にどこにも行かないでって、遠いところに行ってしまうのは貴也さんなのに。

 何を子どもみたいなことをって私だって思う。
 だけど………。