宇佐美くんは話しやすくて、こっちが身構えなくても自然体でいられる人だった。
 食事を囲んで会話が弾む。

「中島さんって短大卒の20歳?」

「もうすぐ21歳だよ。」

「そっか〜。
 俺、18だけど、中島さんって幼く見えるよね。
 妹ってこんな感じかなって。」

「妹って!!2つも年上なのに!
 宇佐美くんと接すると若いなぁって思っちゃうよ。」

「またまた〜!
 中島さんって料理も上手だし、俺、ラッキーだったな。
 佐々木課長にも作ってあげるわけ?」

 料理をしない宇佐美くんにできる範囲で作った晩ご飯。

「ううん。
 佐々木課長の方が上手だよ。
 レストラン並みの食事。」

 和食が得意だから佐々木課長に作ったところで、喜ばれるかなんて分からない。
 あんなに料理が上手だし、恥をかくくらいなら作らなくて正解だったかも。

「佐々木課長、料理まで得意なんて嫌味だー。
 なんでもそつなくこなして、女性に嫌がられるタイプなんじゃない?」

「フフッ。佐々木課長のことそんな風に言える人、宇佐美くんくらいだよ。」

 確かに完璧を絵に描いたような人だけど、逆にそれが欠点になることもあるのかなぁ。

「しまった。
 佐々木課長の話題はナシナシ。」

「自分からふったくせに。」

「ダメ。
 今日は俺がドキドキさせるんだから。」

 忘れてた。
 宇佐美くんと添い寝するんだった。

 ワンルームの部屋は食事をするすぐ近くにベッドがあって意識してしまう。

「そんなに固くならないでください。
 佐々木課長とも『悪いことはしない』って約束してますから。」