『はい。』
電話越しの男の人の声にドキリとする。
「中島です。あの……先ほどのことで。」
『あぁ。中島さん。
中島さんって佐々木課長とお付き合いしてるわけじゃないんですよね?』
「は?はい?ち、違います。」
『じゃもし佐々木課長と添い寝して佐々木課長にときめいてたりしたら、勘違いですよ。それ。』
男の人がときめくなんて言葉、可愛い。
なんて思う暇もないほどに言われた言葉が胸をえぐった。
勘違いって、ときめいたとしたらって、なんだか見透かされてるようで………。
黙っていると電話の向こう側から、クククッと軽い笑い声と一緒に挑戦的な言葉が届いた。
『今日の夜、覚悟しておいてください。
俺にときめいてもらいますから。』
「な…………。」
『じゃ住所送りますね。』
また勝手に切られた電話に赤面していると、陽菜が隣で笑い始めた。
「宇佐美くんいいキャラしてる!
心春にはこのくらい押しが強い方がちょうどいいって。」
こんなに陽菜ってくっつけたがりだったっけ?と訝る視線を送りつつ、届いたメールからアパートまでの行き方を調べた。

