特別な君のために


私達の「ごめんね」「いいよ」のやりとりが終わったタイミングを見計らうかのように、奏多先輩とみんなの挨拶も終わったらしい。

練習が再開された。

全体で軽い発声練習のあと、パートごとに分かれて練習をする。

私達ソプラノは第二講義室で練習開始。

パートリーダーのなるみが、約二十人ほどのソプラノメンバー全体に指示を出しながら整列。

キーボードで簡単に伴奏をつけながら、コンクールの課題曲をみんなで歌う。

あまり広くない第二講義室だけれど、防音されていない普通教室なので、声が反響してちょっと気持ちよく歌える場所、だったりする。

前方で指揮をするなるみと、目が合う。

少しだけ目が潤んでしまう自分が、気恥しくなった。

これは歌詞のせい、ということにしておこう。


――悩みも、苦しみも、迷いも、焦りも、怒りも、悲しみも……。

全ては無駄じゃない、生きる糧(かて)にして未来の自分に届けよう—―。


課題曲を歌いながら泣きたくなる高校生は、多分私だけではないはず。