特別な君のために


「ああもうっ‼」

なるみが立ち上がって私に向き合った。眼から涙が一粒。

「それでも私はごめんって言いたいんだって!」

「え?」

「私、今までめっちゃ無神経なこと、美冬に言っちゃったかも知れない。だから謝っておく。ごめんね」

「い、いいよ」

何だか幼稚園児みたいなやりとりになってしまったけれど、泣きながらごめんねと謝られてしまったらこう返答するのがルールかな、と。

いいよと言わなくてはならないような迫力があった。

「ランちゃんから聞いたよ。妹さんのこと。ホントはランちゃんと同い年だったんでしょ?」

「うん……」

「勝手に勘違いした私が悪いんだけど、黙って勘違いさせてた美冬も悪いんだからねっ」

「そう、だよね……ごめんね」

余計な気を遣わせちゃってごめん。
悪くないのに謝らせちゃってごめん。
考え込ませちゃってごめん。
部活サボってごめん。
いろんなごめんが私の心に渦巻いた。

「いいよっ!」

涙を拭きながら、なるみがさっきの私と同じようにやりとりする。

何だかそれがおかしくて、思わず二人で笑った。

ごめんの渦が、さっと引いたような気がする。