特別な君のために


さっと講義室内を見渡して、なるみを探した。

……後ろの方で、スマホの画面に集中しているのが見えた。

私はみんなに「ちょっとごめん」と言い残して、なるみのいる場所へ移動した。

私より後から教室へ入った奏多先輩を見て、みんなはそっちへ寄って行く。

奏多先輩が、私のことを心配そうに見ていたことに、やっと気づいた。



相変わらず、なるみは画面から目を離さず、何かを夢中になって見ている。


「なるみ、ごめんね。遅くなっちゃった」

肩をぽんぽんと叩くと、なるみが驚いたように一瞬息をのみ、私の顔を正面から見た。

「美冬……来られたんだ」

「うん。まだ、痛いけどね」

包帯が巻かれた右手を見せる。

「不便、だよね」

「お箸で魚を食べることは難しかったけど、あとは大抵できるから大丈夫」

私はにっこり笑って答えたつもりだったけれど、なるみの表情がどんどん硬くなっていく。そして。


「そうやって美冬は、大丈夫って言いながら全部抱え込んで、身動き取れなくなってから『痛い』って叫ぶんでしょう?」