確かに、指の痛みはもう、かすかなものになっていた。
心の痛みも、朝よりずっと軽くなっている。
奏多先輩に愚痴を聞いてもらって、良かった。
「最後にもうひとつ。あのさ、美冬は何だかんだ言って妹のことがとっても可愛いんだろ?」
「はい」
「きっとそれは通じてる。自閉症の人は、好かれているかどうかを感じ取る能力も強いから」
「そう、ですか?」
「可哀想だ、とか、見ていて辛い、困ってるっていう気持ちの方が、今は強いのかも知れない。けれど、それも全部、妹が可愛いから。だから美冬は何も悪くないよ」
「私、あんまりいいお姉ちゃんじゃなかったと思いますけど……」
「そんなことないさ。いいこと教えてやる。あとで古語辞典で『いとおしい』を調べてみるといいよ。いまの美冬にぴったりだから」
「え?」
いとおしい、なんていう言葉を奏多先輩から聞かされて、しかも私にぴったりだなんて、これはもしや……。
顔が火照る。どうする二等兵!?
「ん? 俺、何か変なこと言った?」
どうやら全くそういった意味ではないらしい。家に帰ったら調べてみようと思った。



