それから。
奏多先輩は聞き役に徹してくれて、私の妹に対する愚痴に付き合ってくれた。
「妹はすごいところもあるんですよ。TVコマーシャルとか、自分の好きなアニメとか、セリフも音楽もみんな記憶しちゃうんです」
「自閉症の人って、すごい特技をもっていたりするよね」
「そうなんです。だから円周率を覚えさせてみようかなと思って試したんですけど、興味がないことは覚えられないみたいでダメでした」
「そっか、残念。でも、興味があれば覚えられるんだったら、妹さんのためには存分に使える特技だね」
「私にもし、妹みたいな特技があったら、歌いたい曲の楽譜と歌詞を全部覚えちゃうんですけどね。あと日本史の教科書まるごと一冊覚えたりとか」
「ああ、いいねそれ。俺もそんな特技が欲しい。大学のテスト、ちょっと単位が危ないのがあるんだよな」
「えええ? こんなところで遊んでていいんですか?」
「いいのいいの、今はまだゴールデンウィークだから。たまに帰省して後輩と語り合って、ついでに部活を見に行くくらい、許されるって」
「部活、見に来るんですか?」
「そのつもりで部長に練習スケジュール確認したし。午後から行くからな。もちろん美冬も連れて行く。もう痛くないだろ?」



