特別な君のために


慌てて私は話をストップさせるべく、アイスコーヒーを全部一気に飲んだ。

「いっぱい喋ったら、喉乾いちゃったんで、ドリンクバーに行ってきます」

そう言って、ソファから立ち上がった。


「逃げんなよ!」

奏多先輩も、真剣な顔で立ち上がった。

「自分ではどうしようもないことはもういいから。悩むだけ無駄だ! それより、自分自身で勝負しろ!!」

決して大きな声ではなかった。でも、気迫に満ちたその言葉に、私の動きも止まった。

千春の障がいは、私にはどうすることもできない。

でも、自分自身で勝負しろっていうことは……。

ダメだ、身体だけじゃなく、脳もフリーズしている。

きりりとした目が、私の目をじっと見つめている。

動けない。


「―—って、隊長が言ってるぞ!」

すかさず先輩はカエルの隊長をずずずいっと私の顔の前に出してきたので、思わず笑ってしまう。

「脱走二等兵にはなりませんから、ご安心ください!」

「ははは。給水に行ってこい。待ってるから」


奏多先輩は優しい。優しくて狡いのかも知れない。そう思った。