「ははは。やっといつもの調子に戻ってきたかな。傷病兵、いつまでもうじうじするなよ」

奏多先輩が操作するカエルの隊長が、私の肩をぽふぽふ、と叩いた。

そういえば、奏多先輩はいつもこんな明るいノリでみんなを引っ張っていく人だったっけ。

カエルの隊長が首をかしげて私の返事を待っている。

「それで、私が何でこんなにうじうじしてるのかわかります?」

「ああ。家族の問題は人それぞれ。自閉症の妹もニートの兄貴も刺青ありの親父も、自分ではどうすることもできないってことだろ?」

「まあ、はっきり言っちゃうとそういうことです。だから、わざわざ他人に知らせなきゃならないことでもないし……って、守りに入ってたのに崩れてきちゃって」

「崩れた結果、傷病兵になるわ友情も危ういわメンタルもやられてるわっていう状況な訳か。それで行くところがなくてここでへったくそなクレーンゲームをしていた、と」

「ううう、おっしゃる通りです」

「でも、いつまでもここにはいられないだろ? 誤解されるのを恐れず突撃するのも大事だし、当たって砕けたら今度は衛生兵がかけらを拾ってくれるってさ」