美冬となるみはもう一度顔を見合わせている。

完全に『ヤバいよね……』というひきつった笑みで。

そう、おそらくなるみの方が、この場の緊張感を理解しているだろう。


「まあいいや。美冬の率直な気持ちはよ～くわかった。これからも俺は美冬の良き理解者ってことで」


にやりと笑って、なるみを手招きした。

それから、なるみにだけこっそりと伝える。他の奴をけん制するという意味も含めて。


「なるみにだけは言っておく。最初に勧誘した時から、美冬は俺の恋愛対象内」


美冬の顔を見ながら、もう一言。


「美冬が全然わかってないから、これから俺、メッセージ送りまくって頑張る。温かい目で見守ってて」

「応援してます」


なるみはうんうん、とうなずいて、ニヤニヤしている。

これで大丈夫。

美冬だって、おそらくまんざらでもないはず。

彼女の進学先がどこになるのか、後で探りを入れてみようと思った。