特別な君のために


そして聞いた話をまとめると。


妹のことは可愛い。今までたくさん面倒をみてきた。

けれど、友達に知られるのは恥ずかしい。

そう思ってしまう自分が嫌だけれど、やっぱり恥ずかしいから知られたくはなかった。


さらに、両親亡き後、自分が妹の面倒を見なくてはならない、と。

両親は積極的に面倒をみるようにという話はしていないようだけれど、美冬は責任感から、自分がその役を負わねばならないと覚悟している。

ネットで見た掲示板に、ひどい差別用語がたくさん出ていたことを知り、自分も差別されて結婚できないのではないかと考えてる点……俺と同じだ。

言えないけど。


一気に話した美冬は、アイスコーヒーを全部一気に飲んだ。

「いっぱい喋ったら、喉乾いちゃったんで、ドリンクバーに行ってきます」

そう言って、ソファから立ち上がった。


「逃げんなよ!」


俺みたいに、逃げないで欲しい。


「自分ではどうしようもないことはもういいから。悩むだけ無駄だ! それより、自分自身で勝負しろ!!」


これは、俺自身にも言い聞かせなくてはならない言葉だった。