特別な君のために


「ははは。やっといつもの調子に戻ってきたかな。傷病兵、いつまでもうじうじするなよ」

俺はカエルの隊長を操作して、美冬の肩をぽふぽふ、と叩いた。


「それで、私が何でこんなにうじうじしてるのかわかります?」

「ああ。家族の問題は人それぞれ。自閉症の妹もニートの兄貴も刺青ありの親父も、自分ではどうすることもできないってことだろ?」

……心の中で、うつ病の母親、というのも自分ではどうすることもできないんだけどな、と付け加えた。


「まあ、はっきり言っちゃうとそういうことです。だから、わざわざ他人に知らせなきゃならないことでもないし……って、守りに入ってたのに崩れてきちゃって」

「崩れた結果、傷病兵になるわ友情も危ういわメンタルもやられてるわっていう状況な訳か。それで行くところがなくてここでへったくそなクレーンゲームをしていた、と」


……実は俺も、行くところがなくてここで一夜を明かした訳だけど。

俺も彼女に親のことがバレて別れたばっかりで、結構メンタルやられたけど。

かっこ悪いのでそれは言わないでおく。