「確か今日、部活あるよな? 今の部長……譲にそう聞いたぞ。まさかサボりか!?」

「い、いやあのこれには色々訳がありまして……」


そう言って、美冬は顔の前で右手を振った。ん? 中指に包帯が巻いてある。


「訳って、それ?」

よく見たら、骨折でもしたかのように、ぐるぐる巻きにされている。


「そう、です。これがきっかけです」

「ふうん。良かったら詳しく教えてくれない?」

「……」


黙り込んでしまった。なにかよほどの事情があるのだろうか。俺と母さんのように。


「タダで教えろとは言わない。さっきから取りたがってた、そのカエルが取れたら教えるっていうのでどう?」

そう言いつつ、どれが取りやすいか、狙いを定める。これなら全種類取れそうだ。

「え? 見てたんですか?」

「うん。めっちゃへったくそな奴がいるなーと思ったら、美冬だったからさ。ついつい観察してた」

「わかりました。カエルさん、絶対取ってください」