まさか、私の部屋に奏多先輩が来るとは。

大きな体をやや緊張させて、とりあえずベッドの上に座ってもらっている。

そこが一番、広く座れる場所だったから。


「それで、渡したいものなんだけど」

照れた表情の奏多先輩が、リュックの中から白い紙袋を取り出した。

「前にも言ったけど、うちの大学はキリスト教系だから、神社のお守りとかは正直、あんまり効果ないと思ったんだ。それで、これ」

手渡された紙袋の中には、白くてふわふわしたものが入っていた。

「うさぎのしっぽ、だってさ。本物ではないと思うけれど、ラッキーアイテムで、受験勉強にも効果絶大なんだって」

紙袋からそれを取り出すと、キーチェーンの下に、丸くてふわふわしたものがついている。これがうさぎのしっぽ、だろうか。

「可愛い……。ありがとうございます。大事にしますね。それにこれなら、どの神様とも競合しないから、受験のお守りにぴったりですね!」