私が泣きながら反省していたら、スマホが鳴った。
奏多先輩からだった。
『見つけた。幼稚園の遊具の中にいたよ。トンネルみたいなところで、うずくまってた』
「……ありがとう、ございます」
『俺が、浪岡千春ちゃんですかって尋ねたら、可愛い声で「はい、そうです」って。黒いコートに、チェックのマフラーを巻いてるぞ』
「千春です、間違いなく千春です。ああ、よかった……」
『それじゃあ、今から連れて帰るから、風呂でも用意しておくといいんじゃないか? あと、美冬のお母さんにも連絡な』
「はい!」
電話を切ってすぐ、お母さんに連絡した。お母さんも電話の向こうで泣いていた。
私はお風呂を沸かして、やかんのお湯もわかした。
千春の大好きな、ポタージュがすぐ作れるように準備しておこう。
それから、お母さんの好きなダージリンと、奏多先輩の好きな……?
何が好きなのか、知らなかった。
そういえば私は、奏多先輩のことをあまり知らない。
とりあえず、コーヒーでいいだろうか。
お礼を言ってから、謝ろう。そして好きなものを聞こう。
こんなに迷惑をかけてしまった後だけど、許されるだろうか……。



