泣いても、後悔しても、もう遅い。

今はとにかく、千春が無事に見つかることを祈ろう。


いなくなってしまって初めて解る、妹がどれだけ大事かっていうこと。

指を骨折したあの日、心の中で妹なんかいなくなればいいと思った。

でも実際にいなくなってみたら、とっても大切な、かけがえのない存在だったことに、ようやく気付いた。


お願い、千春。

自分の家に戻ってきて。

それが無理なら、あまり遠くまで行かずに、誰かが探してくれるのを待っていて。


お願い、お母さん。

早く千春を探し出して。

千春が見つかった後で、私への説教が十時間続いても耐えるから。


お願い、奏多先輩。

幼稚園へ急いでください。

私の代わりに、一刻も早く千春を見つけ出して!

玄関をロックしなかったのは、私のミスです。先輩は、何も悪くないの。

それなのに、巻き込んでしまって、本当にごめんなさい。


どうか、全員、無事に帰ってきて……。