十分、二十分経っても、まだ誰も戻ってこない。

たったあれだけの時間だから、それほど遠くにはいけないはず。

外は吹雪で視界が悪く、探すのは大変そうだ。


もう一度、千春が行きそうな場所を考えてみた。

コンビニ……は、さっき私達が出てきた時にいなかったから違う。

百円ショップの可能性も、一応ある。

それから……幼稚園!

最近、ランちゃんと幼稚園時代の話をよくしているから、もしかしたら幼稚園が懐かしくなって行っちゃったかも。


——奏多先輩、まだ見つかりませんか?

『ああ、全然ダメ。他にどこを探せばいい?』

——かしわ幼稚園をお願いします。

『かしわ幼稚園……了解。ナビで探すから一旦終了する』


どうか、お母さんか先輩が、千春を見つけてくれますように。

もし、吹雪で見通しが悪くて、交通事故に遭っていたらどうしよう。

もし、悪い人に連れ去られていたらどうしよう。千春は可愛いから、余計に心配だ。

ああ、悪いことばかり考えてしまう。

ごめんなさい。私が浮かれていたばかりに、大事な妹を危険に晒してしまった。