「それにしてもあんたが母親かぁ。少しお腹目立って来た?」

千歳といつものカフェでランチ会中。

「うん。自分でも実感沸かないけどね」

少しふっくらしたお腹をさすりながら食後のパンケーキを頬張る。

幸いな事に、つわりがそんなに酷くない私はこうして好きな物を好きなだけ食べている。

おかげで、3キロほど太ってしまった。

……先生には太り過ぎに注意、ってクギをされたけど。

「そう言えば、双方のご両親の反応は?どうだった?」

「淳一さんの所はこの子が初孫みたいで、すごく喜んでた」

「へ~。紗月の両親は?めっちゃ喜んでたでしょ?」

「……まあね」

「ん?どした?浮かない顔だけど」

「いや……ちょっと思い出したくない事を思い出しまして……」

「へ?なに?」

「うん……」

結論から言うと、めちゃめちゃ恥ずかしかった。

会議室でプロポーズされたすぐ後に淳一さんが「お義父さんに殴られる覚悟もしておくよ」とド緊張でうちの両親に挨拶に来てくれたんだけど、殴る所かお父さんもお母さんも結婚&妊娠を報告した途端、手放しに喜んじゃって。

イケメン捕まえた!とか、玉の輿だ!とか、今日は宴だ!とか、色々……。

「その後、お兄ちゃんと弟も加わってホントに宴会始まっちゃって……淳一さんも巻き込んで飲めや歌えやでもう大騒ぎ。ほんっと恥ずかしかった」

江戸っ子を謳っている両親はお祭り騒ぎが大好きで、すぐにどんちゃん騒ぎをしたがる。

ほんと止めて欲しいわ、アレ。

「あっはっはっは!紗月の家族は面白いね!」

千歳が涙を流しながら笑っている。

「笑い事じゃないよ……」

……まぁでも、淳一さんはすごく楽しかったって喜んでいたいたしあれはあれで良かったのかな。