「楽しいっていうよりは幸せを感じたの・・・」


私は泣き顔を見られるのが恥ずかしくなって顔を下げた。



「幸せって思ってたの私だけなのか、なぁ・・・」


声が震えて上手く話せない私に神木くんは優しい声で言う。


「お前といれるんならアイツも幸せだったと思うよ」




なんで「思うよ」って、過去形で言うの?



もう幸せじゃないみたいに言わないでよ。



私、こんな辛い恋なんて知らなかった。



いや、知ってたけど知らなかったふりしてただけ。



知ってるって思ったらもっと辛くなるから。



結城くんに近づけば近づくほど、見えなくていいところが出てきて・・・。



私どうしたらいいの?



私どうしたいの?


「今度はさ・・・」


神木くんが私より震えた声で言う。


私は顔をあげて頷く。



「俺が幸せあげるから、」



えっ?



「俺の隣にいろよ」


―これ夢?



「俺もお前から幸せ貰いたいから」


―神木くんがこうゆうこと言うなんて。



でも。



私は―。



「結城くんじゃなきゃ嫌なの・・・」



ごめん。



ごめんね、神木くん。



私は結城くんじゃないと幸せになれない。



こんな私でごめん。



こんな私に、こんな幸せをくれてありがとう。



こんな最低な私に。