「訴えられますか?セクハラをした社長を」

「私が田神社長をですか!?」


突然の田神室長から出た訴える発言に声が大きくなる。


「こちらとしては社長を擁護致しません。榛原さんの気持ちを考えれば訴えると言うなら優秀な弁護士を用意しましょう。しかし私がしなくとも会長が用意するでしょうしね」

「え…っ、田神会長も知ってるって事ですか?」

「いえ。今はまだエレベーター内での失態を認識しているのは私と警備の者だけです」


警備の者?

私の気持ちが届いたのか田神室長は口を開く。


「あのエレベーターにはシークレットですが、緊急時に押すボタンがあるんですよ。一般的なエレベーターにある非常用ボタンとは違い、社長を警備する部隊に即時繋がるボタンが。そのボタンを押すと普段部隊が待つ部屋に画面も音声も届くようになってます。自動的にボタンを押した時刻から数分前のものが」