INFATUATOシンドローム

車のドアを開けるところに手をかけていた日向くんの手を叩き落とし、背中を押して車から遠ざける時雨。


雪「なんでだよ。魁がいるんだから別に居なくていいだろ」


時雨「何いってんの!私たちさっき会ったばかりなんだよ?雪は璃夢と仲いいんじゃないの?」


雪「仲良くなんかねぇ」


うぐっ…確かに、仲良しかって言われたら仲良しではないかも…同じ学校の生徒、くらいの距離感?


時雨「これを機に人と仲良くしたら?」


雪「別に俺は………」


日向くんは時雨の言葉を聞いてそっぽを向いてしまった。


時雨「はいっ!うじうじしない!女々しいでしょ!?さーて!璃夢はどこに行きたい?」


璃夢「えっ!?ぼ、僕はどこでもいいよ! 」


時雨「お礼なんだから!好きなところいいなよ!」


そ、そんなこと言っても…どんなお店があるかもわかんないよ!


璃夢「ホントにどこでもいいよ!そうだ!時雨の好きなお店に行こう!」


雪「却下だ。コイツの好きなお店とか絶対に入りたくない」


時雨「ホントに?じゃあ私の好きなお店巡りだ〜!!」


雪「オイ、俺の話聞けよ」


行きたくなさそうな日向くんの背中を時雨が押し、私はその後をついて行った。

そんな様子を漣さんが嬉しそうに眺めていたことを私たちは知らない。