INFATUATOシンドローム

そう言うと時雨は固まった

あれ?もしかして私、また変な事言ったかな?


時雨「っ!!ね、ねぇ、雪聞いた!?私が女じゃないって知った上でも女の子扱いしてくれてるよ!」


雪「…お前、マジ意味わかんねぇ…。てか痛てぇよ!叩くな」


心配になって時雨を見ると、何故か顔を赤らめて日向くんをバシバシ叩いている。

し、時雨は怒ってるの?それとも照れてたりする?照れる理由は分からないけど…


時雨「すっごく嬉しい!私、璃夢ともっと仲良くなりたい!」


怒っていたのではなく喜んでいたようだ。

よかったぁ怒らせたわけじゃなくて。しかも仲良くなりたいってすっごく嬉しい!


璃夢「僕も時雨と仲良くしたい!」


やったぁ二人目のお友達だ!どうしよう、高校生になったら二人もお友達が出来ちゃった!


時雨「もぉ嬉しい!早く買い物行こ!荷物はあの人に任せて大丈夫だから!」


ん?あの人?

誰のことかと思い時雨の指さした方を見てみると黒いスーツの人が黒い車の前で立って待っていた。


璃夢「真っ黒!」


全身真っ黒だ!あれみたい、よくテレビでやってる追いかけっこの番組の追いかける鬼の人!
そう!逃亡中だ!


時雨「あははっ!最初の言葉それなのウケるんだけど!あの人、私たちのお世話係だよ、紹介するね〜」


お、お世話係!?お世話係の人がついてるなんて…どうしよう、お友達になって大丈夫?こんな貧乏人がお金持ちとお友達になっていいんでしょうか!?

そんなことを考えながら私たちは車の方へと近づいた。


?「お世話係の漣(さざなみ)です」


目の前までやってくると、自己紹介をしてくれたお世話係の漣さん。

い、厳つい顔してる…。まぁ、極道としたら当たり前なんだけど…なんか一般人じゃないって一目見てわかる見た目だね!


璃夢「魁璃夢です、よ、よろしくお願いします」


漣「よろしくお願いします」


ぺこりとお辞儀をして挨拶をすると、丁寧にお辞儀を返してくれた。

わ、いい人だ。

《チョロい》


時雨「じゃあ漣!よろしくね!」


いつの間にか私の持っていた荷物は車の後ろに積み込まれていた。

仕事が早い!


漣「わかりやした。若もお嬢も楽しんでくだせぇ」


時雨「あっ、電話したら迎えに来てね?」


漣「勿論です」


……すごい会話だな。なんかドラマとかに出てくるお金持ちの会話だ。


雪「じゃあ俺は帰る」


そんな二人のやり取りを眺めていると、日向くんはひとり車の後ろに乗り込もうとしていた。


時雨「言うと思ったけどダーメ!」