「美晴、おっはよー! 二度寝しちゃって遅刻するかと思ったー」


机にカバンを放り投げるように置いた奈穂実は、わたしに飛びつくように駆け寄ってきた。


「担任来てないじゃん。めっちゃラッキー! 」

「おはよ。遅刻って……もうこんな時間?! 」


絵に集中していて気がつかなかったけれど、教室の時計はすでにホームルームの時間を20分も過ぎていてあと3分で1限目がはじまる。

あきらかに奈穂実は遅刻なのだけれど、珍しく担任の山崎先生がまだ来ていないので怒られることは免れれたと思う。