「ほのかは帰っててよかったね。危なかったよ」

「うん、うちの犬が逃げなかったら由梨じゃなくてあたしが死んでいたかもしれないよね」


そう答えたあとに『自分だったら』と想像したのか、ほのかはハンカチで顔を覆ってまた泣きはじめた。
けれど覆うほんの一瞬、口元がニヤリとしたような気がして。


「ねぇ美晴、今の見た? ……女って恐いねぇ」


奈穂実もそれに気づいたらしく、うなずくわたしに呆れたように首を振った。