でも痛みなんかそのうちきっと慣れるはず。
そう、この扉の向こうみたいに。

わたしは2年A組の教室の前で、ふっと軽く息をつくと引き戸に手をかけた。
今日も誰とも話さない1日を過ごせばいいだけ。
当たり前になってしまえば、悲しいとか寂しい気持ちなんて薄れてくるし。
そして悔しい気持ちも。


「おそーい」
「おそーい」


戸を開けたとたん、瓜二つの顔が同じタイミングでこっちを見た。

わたしの体は驚きで固まり、動けなくなってしまった。
だって何が起きたのか分からない。
わたしに話しかけてくる人なんて、いるはずがないのに。